大ヒット作家アレクサンドル・デュマの逸話「母の金貨」

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小説や漫画などのアイデアとして使えそうなネタを紹介します。

キャラクターの見方を反転させるときに参考にできそうなアレンクサンドル・デュマの逸話です。

アレクサンドル・デュマの逸話

今回は『モンテクリスト伯』や『三銃士』などで有名な小説家アレクサンドル・デュマ・ペールの逸話を紹介します。浪費家だった彼が亡くなる間際、息子に語ったある秘密に関するお話です。

大ヒット作家のデュマですが、幼い頃は貧しい生活を送っていました。彼は3才のときに父親を亡くし、母と二人で暮らしていたのです。そんなデュマが大きくなって働きはじめたある日、シェイク・スピアの『ハムレット』を見て彼は感激します。

この『ハムレット』との運命的な出会いが彼の人生を変えることになります。母が貯めたなけなしの金貨を受け取り、デュマは作家を夢見てパリに上京します。

数年後、デュマの書いた劇が見事にヒットし彼は当時の売れっ子作家になります。さらに『モンテクリスト伯』などのヒット作を立て続けに生み出し、デュマは時の人となります。

しかし、ヒット作を生み出すたびに彼の浪費癖はエスカレートしていき、お城のような豪邸を建てたり、劇場を建てたりしているうちに財産がみるみる減少。

そのうえ、小説もかつてのようなヒット作が書けなくなり、とうとう彼は破産して無一文になってしまいます。

そんなデュマは亡くなる間際、息子にこう語りました。

私は世間がいうような浪費家ではない。その証拠に上京するとき母にもらった金貨をまだ持っている。

とても金遣いのあらいデュマですが、母からもらった金貨だけは大事にしていたのです。これが浪費家だったデュマの意外な一面がうかがえる逸話です。

ちなみに、『モンテクリスト伯』には「待て、そして希望せよ」という名言が登場します。

もしかすると、デュマは作家を夢見てパリに来たあのころのように、母からもらった金貨をにぎりしめながら死の直前まで希望を抱きつづけていたのかもしれません。