今回は、簡単に魅力的なキャラクターが作れる方法を紹介します。
よく紹介されているキャラクターの履歴書を書くという方法もいいと思いますが、何十個もある項目を埋めるのは大変な作業です。
そのうえ、細かい設定を決めたからといって物語の中でそのキャラクターが魅力的になるとはかぎりません。
なので、まずは【目的】などのキャラクターの本質に関わる部分から考えましょう。というのが今回紹介するキャラクターの作り方です。
もくじ
キャラの本質をつかむ5つの質問
キャラクターの本質をつかむために、キャラクターの本質に関わる【目的】【動機】【行動】【大切なもの】【弱点】の5つを考えます。
わかりやすくいうと「どんなことがしたいのか」「なぜ、それがしたいのか」「目的のために、どういう手段を選ぶのか」「何を大切にしているのか」「どんな弱点があるのか」です。
それでは、質問に答えながら実際にキャラクターをつくっていきましょう。(キャラクターの本質に関わる5つはどれから決めていっても問題ありません)
キャラクターの目的と動機
1.キャラクターが作中で求めるものを教えてください。
【求めるもの(目的)】は【愛、お金、名誉】とせずに、もっと具体的に【誰々と結婚する、1000万を手に入れる、甲子園で優勝する】といった答えにしてください。
求めるものが具体的なほうが、目的までの距離や目的達成に必要な条件などがイメージしやすくなるからです。
キャラクターが物語の中で求めるもの(目的)を決めれば、キャラクターが物語の中でどう動くのかが漠然と見えてきます。
「なぜ、それを求めるのか」「目的をどうやって達成しようとするのか」といったイメージが広がるはずです。
2.なぜ、それを求めているのか具体的な理由を教えてください。
【回答例】:息子を助けるために手術費の1000万が必要だから。(求めるもの=1000万)
求める理由(動機)を決めてやれば、キャラクターの置かれている状況や背負っているものが見えてきます。
キャラクターの動機が思いつかないときは、キャラクターが何を大切にしている人物なのかを考えます。動機には大切なものが大きく関わっているからです。
上の回答例だと【大切なもの】=【息子】です。
キャラクターの大切なものと弱点
3.キャラクターの大切なものを教えてください。
【大切なものの例】:愛する家族や恋人、現在の地位、夢の実現、など。もっと具体的にいうと、愛する妻、クラスでの人気者の地位、ミュージシャンになる夢、などです。
ほとんどの場合、キャラクターは大切なものを守るために目的を持って行動します。愛する家族の危機を救うためだったり、自分の地位を守るためだったり、自分の夢を叶えるためだったり。
大切なものはキャラクターの原動力です。
4.キャラクターの弱点(未熟なところ)を教えてください。
【弱点の例】:家族や恋人に執着しすぎてしまう、現在の地位を守るために自己中心的な振る舞いをしてしまう、など。
弱点を知れば、「キャラクターをどう成長させればいいのか」=「どんな葛藤(障害)を用意すればいいのか」のヒントになります。
ちなみに、弱点と大切なものは裏表の関係なので、キャラクターの弱点は大切なものから導き出せます。
家族を大切にしすぎるせいで過干渉になったり、現在の地位を守ろうとして誰かを傷つけてしまったり、大切なものへの執着が弱点になります。
キャラクターの性格は行動で見せる
5.キャラクターは目的のためにどんな手段を選んで行動しますか?
目的のために、どんな手段を選んで行動するかでキャラクターの性格や考え方がわかります。正々堂々と挑むのか、卑怯な手を使うのか、待つだけで行動しないのか、どんな人物なのかを行動でしめします。
キャラクターは物語の中で大小さまざまな目的を持ちます。たとえば甲子園優勝が大きな目的なら、名門野球部に入る、レギュラーになる、などの小さな目的が生まれます。
たとえ、小さな目的でも手段を選択するときは、そのキャラクターがどんな人物であるのかを行動でしめすチャンスになります。
以上がキャラクターの本質をつかむ5つの質問です。
目的、動機、行動、大切なもの、弱点、を決めてやればキャラクターの本質が見えてくるはずです。
極端な話、名前すらなくても上の5つをしっかり作り込んでやれば、キャラクターは魅力的になります。
キャラクターを魅力的に見せる方法
どんなものを大切にし、どんな目的のために行動するキャラクターなのかを理解できたら、つぎは読者や観客にキャラクターの魅力を伝える方法を考えていきます。
キャラクターを葛藤させる
キャラクターを魅力的に見せるためには見せ場が必要です。その見せ場となるのはキャラクターが葛藤するシーンです。
では、キャラクターを葛藤させるためにはどうすればいいのか? ここで、先ほど考えたキャラクターの大切なものが役立ちます。
大切なものを攻撃するだけでキャラクターを葛藤させることができます。
例1:大切なものを攻撃する
- 家族を人質に取る(大切なもの=家族)
- 現在の地位をおびやす存在を用意する(大切なもの=現在の地位)
- 夢をあきらめるほどの大ケガをさせる(大切なもの=夢の実現)
もし、大切なものがいくつもある場合は、どれかを切り捨てなければいけない状況をつくってやりましょう。
例2:大切なものを捨てさせる
- 夢のために家族を犠牲にするのか、家族のために夢をあきらめるのか選択させる(大切なもの=夢の実現、家族)
- 友人の恋人を好きにさせて、友情と愛情のどちらを取るか選ばせる(大切なもの=友人、友人の恋人)
このようにキャラクターの大切なものを考えておけば、簡単に魅力を伝える見せ場(葛藤シーン)をつくることができます。
読者を共感させる
キャラクターを魅力的に見せる手っ取り早い方法は、読者や観客の共感を得ることです。
読者の共感を得るには、まずキャラクターに対して【あこがれ】【同情】【軽蔑】のいずれかの感情を抱かせるのがコツです。
そこから読者とキャラクターの距離を近づければ、読者は自然とキャラクターに共感してくれます。
1.あこがれを利用する
キャラクターに飛び抜けた容姿や頭脳、身体能力などを持たせて、「あんなふうになりたい」と読者にあこがれを抱かせます。
そのあと、キャラクターの残念なところや庶民的なところを見せて「そこは、私と同じだ」と思わせれば、急に親近感が生まれて読者は共感しやすくなります。
遠い存在だと思っていたものが、実は近い存在だったというギャップが共感しやすい状態をつくり出します。これが、あこがれを利用した方法です。
残念なイケメンや美女が魅力的に見えるというのも、このパターンに当てはまります。
2.同情を利用する
貧乏だったり、努力が報われなかったり、身に覚えのない罪に問われたり、他の登場人物たちに何をいっても信じてもらえなかったり、キャラクターをそういう不幸な状況に追い込んで同情を誘います。
さらに追い打ちをかけるか、読者にだけキャラクターの本当の苦労がわかるようにしてやれば、キャラクターと読者の距離がどんどん近づき、共感しやすくなります。
これが、同情を利用した方法です。
3.軽蔑を利用する
裏切り行為などの情けない姿を見せて、「あんなふうになりたくない」「最低な奴だ」と読者にキャラクターを軽蔑させます。
そのあと、キャラクターに名誉挽回のチャンスをあたえて成長した姿を見せれば、読者はキャラクターを見直し、距離が近づいて共感しやすくなります。
1のあこがれと同じくギャップを利用した方法です。
ダメ人間や不良キャラが頑張るほうが普通の人が頑張るよりも魅力的に見える、というよくあるパターンもこれです。
以上がキャラクターを魅力的に見せる簡単な方法です。
ただ、この方法を利用するにはキャラクターがどんな人物なのかを知っておいてもらう必要があります。
「どんなことがしたいのか」「なぜ、それがしたいのか」「目的のために、どういう手段を選ぶのか」「何を大切にしているのか」「どんな弱点があるのか」
だから、魅力的なキャラクターを作るためには本質に関わる5つを決めておくことが重要なのです。細かい設定はキャラの本質的な部分からどんどんイメージが広がっていくはずです。
キャラクターの作り方:まとめ
今回の流れのまとめ。