「起承転結がよくわからない」という人のために、物語(ストーリー)の起承転結をわかりやすく解説します。
まず、物語の起承転結とはどんなものなのかを説明し、そのあとに起承転結の例をたくさん紹介します。
もくじ
起承転結の説明
起承転結とは漢詩(中国の詩)の組み立て方を起源とする物語や文章の型です。むずかしく考えず、「ストーリーが4つの重要なパートでできている」ということがわかれば大丈夫です。
起承転結のそれぞれにどんな意味があるのか簡単に説明するとこのようになります。
- 起:設定の説明+物語が動き出す【きっかけ】になるできごとが起こる。
- 承:本格的に物語が動き出して、どんどん話が進んでいく。
- 転:物語の流れが変わるできごとが起こる。
- 結:物語をしめくくる。
※起承転結には様々な解釈があると思いますが、このように定義して解説していきます。
これだけだと分かりづらいと思うので、『シンデレラ』を例にして起承転結をくわしく説明していきます。
起承転結の【起】
【起】は「これからこんなお話をしますよ」という説明をするパートです。
むかしむかし、あるところに〇〇というものが暮らしていた・・・というように時代はいつで、場所はどこで、主人公はどんな人なのか、どんな目的や願いを持っているかなどが説明されます。
そして、基本的な設定を説明したあとに物語が動き出す【きっかけ】になるできごとが起こります。
拾ってきた桃から男の子が生まれたり(桃太郎)、罠にかかっているツルを助けてあげたり(鶴の恩返し)、魔法学校から入学許可証が届いたり(ハリーポッター)、などが物語が動き出す【きっかけ】です。
シンデレラの起
昔々あるところに、シンデレラという娘がいました。シンデレラは継母と義姉にいじめられていました。お城の舞踏会に行きたいけどシンデレラだけ連れていってもらえません。
これがシンデレラの設定の説明です。時代や場所、シンデレラの置かれている状況、お城の舞踏会に行きたいという目的などがわかります。
そして、物語の設定を説明したあと魔女が現れてシンデレラに魔法をかけます。
これが【きっかけ】になるできごとです。
起承転結の【承】
【承】は物語が動き出して、どんどんお話が進んでいくパートです。
【きっかけ】になるできごとによって主人公の置かれている状況が変わり、物語が動き始めます。
シンデレラの承
魔女に魔法をかけられたことを【きっかけ】にシンデレラの置かれている状況が変わり(魔女の魔法でキレイな身なりになった)、彼女はお城の舞踏会にいけるようになります。
そして、王子様と出会って親しくなります。
このように【きっかけ】になるできごとから色々なできごとに連鎖して、どんどん物語が進んでいきます。
起承転結の【転】
物語の流れが変わるできごと(盛り上がるできごと)が起こるパートです。
シンデレラの転
王子様と親しくなれたシンデレラ。しかし、魔法が切れてしまいそうになって彼女はあわてて逃げ出します。夢のような時間はおわり、シンデレラはもとの辛い生活にもどります。
シンデレラだと【転】で話の流れが明るい方から暗い方へと変化します。
【転】のパートでは主人公が何かを失ったり、主人公の前に大きな試練が立ちはだかったりしてお話の緊張度が増します。
起承転結の【結】
物語をしめくくるパートです。主人公の目的が達成されたり、お話にオチがついたりして物語がおわります。
シンデレラの結
もとの辛い生活にもどったシンデレラのもとに王子様があらわれます。
彼女が落としたガラスのくつをたよりに王子様はシンデレラを探していたのです。
こうして2人が結ばれ、物語はおわります。
物語の最初に願っていた舞踏会に行きたい(辛い生活から抜け出したい)というシンデレラの目的が王子様との結婚という形で達成されました。
以上が物語(ストーリー)の起承転結の説明です。
【起】で設定を説明したあとに「きっかけ」があり、【承】で物語が本格的に動き出して【転】で流れが変わって、【結】で目的が達成されておわる。
起承転結の例
いろいろなストーリーの起承転結の例を紹介していきます。
※長ったらしくなってしまうので、【起】の設定の説明は省いています。
例1:桃太郎
- 起:おばあさんが拾ってきた桃から桃太郎が生まれる。(きっかけ)
- 承:悪さをしている鬼を退治するため、鬼ヶ島へ向かう。
- 転:道中で仲間にした犬猿キジとともに鬼と戦う。
- 結:鬼を退治して財宝を持ち帰る。
『桃太郎』の本編は鬼退治です。なので、鬼退治に向かう桃太郎の誕生をきっかけに物語が動き出します。
【承】で鬼を退治するという目的に向かって物語が進んでいき、【転】の鬼との戦いで目的が達成されるかどうかで話を盛り上げて【結】で目的が達成されて、めでたしめでたし。
例2:浦島太郎
- 起:浦島太郎がいじめられていた亀を助ける。(きっかけ)
- 承:お礼に竜宮城に連れていってもらい、楽しい時間を過ごす。
- 転:玉手箱をもらって竜宮城から帰る。
- 結:「開けてはいけない」といわれていた玉手箱を開けてしまい、おじいさんになる。
『浦島太郎』は主人公の不思議な体験がお話のメインの部分です。【起】で亀を助けたのをきっかけに、一連の不思議な体験がはじまります。
【承】で竜宮城に連れていってもらって楽しい時間をすごし、【転】で楽しい時間がおわって話の流れが変わります。そして【結】で物語にオチがついておわります。
例3:アンパンマン
『アンパンマン』のよくあるパターンを例にします。
- 起:バイキンマンが悪さをする(きっかけ)。
- 承:アンパンマンがバイキンマンをやっつけにいく。
- 転:アンパンマンの顔が濡れて力が出なくなる。
- 結:新しい顔をもらって元気100倍になり、バイキンマンをやっつける。
『アンパンマン』は起承転結が非常にわかりやすいです。
「バイキンマンをやっつけて平和にする」という目的を達成してお話がおわります。
例4:ドラえもん
『ドラえもん』のよくあるパターンを例にします。
- 起:困ったことが起こき、のび太はドラえもんに「道具を出して」とたのむ。(きっかけ)
- 承:ドラえもんの道具をつかってのび太が調子に乗る。
- 転:トラブルが発生して流れが変わる。
- 結:のび太がドラえもんに泣きついて何とか問題を解決してもらう。
『ドラえもん』も起承転結がわかりやすいです。のび太がドラえもんの道具をつかって何らかのトラブルを起こし、そのトラブルが解決されてお話がおわります。
『ドラえもん』に限らず、1話完結型の漫画やアニメは起承転結がわかりやすいので起承転結の参考になると思います。
例5:ドラゴンボール(初期)
ドラゴンゴールの初期(1度目のドラゴンボール集め)の起承転結です。
- 起:悟空とブルマが出会う。(きっかけ)
- 承:ドラゴンボール集めの冒険がはじまり、どんどんドラゴンボールを手に入れていく。
- 転:集めたドラゴンボールをピラフたちに奪われる。
- 結:悟空たちは間一髪のところでピラフが世界征服の願いを叶えるのを防ぐ。
『ドラゴンボール』に限らず長期連載の漫画は、「ピッコロ編」、「フリーザ編」、「セル編」などの「何々編」ごとに起承転結があります。
例6:進研ゼミの漫画
進研ゼミの漫画によくあるストーリーの起承転結です。
- 起:テストでわるい点数を取る。(きっかけ)
- 承:友人のすすめで進研ゼミをはじめ、どんどん勉強ができるようになる。
- 転:テストでむずかしい問題が出るけど、進研ゼミでやったことのある問題だと気づく。
- 結:無事に志望校に合格するだけでなく、部活も恋愛も上手くいく。
例7:ドラゴンクエストなどのRPG
ロールプレイングゲームなどのファンタジー作品によくあるストーリーの起承転結です。
- 起:王様に魔王討伐をたのまれる。(きっかけ)
- 承:魔王を倒すために冒険の旅に出て、仲間と出会う。
- 転:魔王を倒すが、すべてを裏であやつっていた真の魔王の存在が明らかになる。
- 結:仲間と協力し、真の魔王を倒して世界に平和がおとずれる。
例8:スーパーマリオ
スーパーマリオによくあるストーリーの起承転結です。
- 起:ピーチ姫がクッパにさらわれる。(きっかけ)
- 承:マリオがピーチ姫を助けにいく。
- 転:クッパ軍団の中ボスたちを倒して、とうとうクッパところまでたどり着く。
- 結:クッパを倒してピーチ姫を助ける。
例9:恋愛もの
ラブコメ映画や、恋愛漫画によくあるストーリーの起承転結です。
- 起:最悪の形で二人の男女が出会う。(きっかけ)
- 承:二人は反発し合いながらもお互いに惹かれ合っていく。
- 転:隠していた秘密がバレたり、別の異性が現れたりして二人の距離が遠くなる。
- 結:しかし、お互いに欠かすことができない存在だと気づき、再び一緒になる。
例10:スポーツもの
スポーツものによくあるストーリーの起承転結です。
- 起:現役を引退したスター選手が、弱小チームの監督になる。(きっかけ)
- 承:きびしい練習の結果、弱小チームはどんどんトーナメントを勝ち上がっていく。
- 転:決勝戦のまえにトラブルが起こり、チームがバラバラになってしまう。
- 結:なんとかトラブルを乗り越え、チームは一致団結して優勝する。
例11:学園もの
教師が主人公の学園ものによくあるストーリーの起承転結です。
- 起:不良高校に熱血教師がやってくる。(きっかけ)
- 承:教師は生徒たちが非行に走るのを防ぎ、受け入れられていく。
- 転:生徒の一人が大問題を起こす。
- 結:教師と生徒たちが一丸となって問題を解決する。
例12:ミステリー
探偵が主人公のミステリーによくあるストーリーの起承転結です。
- 起:事件が発生し、探偵のもとに依頼がくる。(きっかけ)
- 承:事件の捜査を順調に進めていく。
- 転:事件の裏に大きな陰謀が隠されていることに気づく。
- 結:大きな陰謀を阻止して、無事に事件を解決する。
例13:ヒーローもの
ヒーローものによくあるストーリーの起承転結です。
- 起:何らかの原因で不思議な力を手に入れる(きっかけ)。
- 承:力をつかって人助けをしているうちに悪の組織と対立することになる。
- 転:悪の組織に正体がバレて身内がさらわれてしまう。もしくは不思議な力を失う。
- 結:困難を乗り越え、本物のヒーローへと成長して悪を倒す。
例14:記憶喪失もののサスペンス
記憶喪失もののサスペンスによくあるストーリーの起承転結です。
- 起:事故などに巻きこまれて記憶を失う。(きっかけ)
- 承:自分が誰なのかも思い出せないまま謎の組織に追われる。
- 転:記憶を取りもどすが、自分が悪人(謎の組織の一員)だったことを知る。
- 結:組織を倒し(関係を絶つ)、新しい自分として生きる。
例15:怖い話
よくある怖い話の起承転結です。
- 起:タクシーに白い服を着た女が乗ってくる。(きっかけ)
- 承:運転手は、女のいう目的地に向かってタクシーを走らせる。
- 転:目的地につくと、いつの間にか女の姿が消えている。
- 結:実は、その場所は白い服の女が一週間前に亡くなった事故現場だった。
怖い話の冒頭によくある「これは友人から聞いた話なんだけど」や「これは本当にあった話なんだけど」などは、リアリティを持たせるための設定説明です。
まとめ
以上が起承転結の説明と起承転結の例です。起承転結がどんなものなのか何となくわかっていただけたと思います。
もっと、ストーリーの構造を知りたい人はハリウッド映画の脚本につかわれている三幕構成を勉強するのがおすすめです。起承転結よりもわかりやすく、紹介しているサイトや書籍もたくさん存在しているからです。
三幕構成についてはこちらの「シド・フィールドの脚本術を参考に【三幕構成】をわかりやすく解説!」で紹介しています。
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