『10のストーリータイプから学ぶ脚本術』は物語のテンプレ辞典

『10のストーリータイプから学ぶ脚本術』の表紙

おもしろい物語を作るには、おもしろい物語の型を下敷きにして書くのがいちばんの近道です。

しかし、自分でいろいろな作品のストーリーを分析したり、パターンを分類したりするのはとても時間のかかる大変な作業です。

ジャンル別にまとめた物語のテンプレートがあればいいのにと思いませんか?

そんなときにおすすめなのが『10のストーリータイプから学ぶ脚本術』です。

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フィルム アート社
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この本はストーリーあらゆるパターンを1冊にまとめた「物語のテンプレ事典」のような存在で、参考になりそうな作品やパターンを簡単に見つけることができます。

それでは『10のストーリータイプから学ぶ脚本術』がどんな内容で、どんな人におすすめなのかをくわしく紹介していきます。

『10のストーリータイプから学ぶ脚本術』の内容紹介

『10のストーリータイプから学ぶ脚本術』はハリウッド式の脚本術を解説した本『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』の続編です。

『SAVE THE CATの法則』の表紙『SAVE THE CATの法則』はシナリオが書けない人を救う最強の脚本術!

前作の『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』に登場した物語のテンプレート「ブレイクスナイダー・ビート・シート(以下ビートシート)」をつかった映画のシナリオ分析と「10のストーリータイプ」の解説が今作の主な内容です。

1から10まである章の最初に筆者が作ったストーリータイプがひとつ紹介され、そのストーリータイプに属する作品をビートシートをつかって分析していく構成になっていてます。

MEMO

10種類のストーリータイプ別にそれぞれ5本ずつ、合計50本ものシナリオ分析が収録されています。

つまり、本書で紹介されている「10のストーリータイプ」それぞれのパターンと、物語のテンプレート「ビートシート」を参考にすれば簡単におもしろい物語の下敷きができてしまうというわけです。

ちなみに、前作に登場した「ビートシート」がどういったものなのかも、ちゃんと紹介されているので今作から読んでも特に問題ありません。

「ビートシート」についてくわしく知りたい人は『キックアス』のストーリーをビート・シートで分析してみたをごらんください。

キックアスのイラスト『キックアス』のストーリーをビートシートで分析してみた

10のストーリータイプについて

10のストーリータイプ

『10のストーリータイプから学ぶ脚本術』のなかで解説されている「10のストーリータイプ」を紹介していきます。

筆者のブレイク・スナイダーによるストーリーのジャンル分けは少し変わっていて、「SF」や「ミステリー」といったジャンル分けではなく、ストーリーの本質的な部分で分類されています。


1.家のなかのモンスター

【家のなかのモンスター】は、主人公が閉ざされた環境のなかに現れたモンスターと戦い、生き延びようとするストーリーです。

「サスペンス」や「ホラー」、「モンスターパニック」などのジャンル分けだと別ジャンルになりそうな作品も、この分類方法だと同じストーリータイプになります。

たとえば、田舎町のビーチに人食い鮫が現れる『ジョーズ』と、幸せな家庭に復讐に燃えるベビーシッターが潜入してくる『ゆりかごを揺らす手』が同じストーリータイプになります。

モンスターの種類こそ別物ですが、どちらも閉鎖的な環境に現れたモンスターと戦うお話です。

このジャンルに共通する要素
  • 逃げ場のない空間や、守るべき場所が舞台になる。
  • 圧倒的な強さや超自然的なパワーを持ったモンスター(人間もふくむ)が登場する。
  • 罪(モンスターを生み出した原因)が存在する。(無知であることも罪)
  • 罪に気づいた人間、克服した人間が生き残る。(モンスターに見逃してもらえる)
  • モンスターとの戦いを経験した人物が登場する。(『ジョーズ』の漁師など)

このようなストーリータイプの特徴や共通点、重要なポイントなどを紹介したあとに、「ブレイクスナイダー・ビートシート」をつかったストーリーの分析が収録されています。

15個ある「ビートシート」の項目に映画のどのシーンがあてはまるのか最初から最後のシーンまでくわしく解説されています。

この章で分析されている作品

  • 『エイリアン』
  • 『危険な情事』
  • 『スクリーム』
  • 『ザ・リング』
  • 『ソウ』

2.金の羊毛

【金の羊毛】は、旅に出た主人公が当初もとめていたものとは別の大切なものを手に入れるストーリーです。

※さすがにすべてのストーリータイプをくわしく紹介するわけにはいかないので、ここからはより簡単な紹介にさせてもらいます。

いっけん別ジャンルに思える『ファインディング・ニモ』と『オーシャンズ11』も同じこのストーリータイプに分類されます。

どちらのストーリーも何かを求めていた主人公が、その道中で経験したことから本当に大切なものを学んで生長するお話です。

この章で分析されている作品

  • 『がんばれ! ベアーズ』
  • 『大災難P.T.A.』
  • 『プライベート・ライアン』
  • 『オーシャンズ11』
  • 『そして、ひと粒のひかり』

3.魔法のランプ

【魔法のランプ】は、「不思議な力を手に入れた主人公が様々な経験をし、最終的には不思議な力にたよらず何かを成し遂げる」というパターンのストーリーです。

マスクをかぶると魔法のような力がつかえるようになる『マスク』や、日記を読み返すと過去に行ける『バタフライ・エフェクト』がこのストーリータイプに属しています。

不思議な力は大金だったり、美しい容姿だったり、『ドラえもん』の「ひみつ道具」のような便利なもだったりと様々で、『ライアーライアー』の「ウソつきがウソをつけなくなる」といった呪いのようなタイプも存在しています。

この章で分析されている作品

  • 『フリーキー・フライデー』
  • 『コクーン』
  • 『ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合』
  • 『ハート・オブ・ウーマン』
  • 『エターナル・サンシャイン』

4.難題に直面した凡人

【難題に直面した凡人】は、「どこにでもいそうな人物がとんでもない事態に巻きこまれる」というストーリーです。

『ダイ・ハード』や『アルマゲドン』などがこのストーリータイプに分類されます。

この章で分析されている作品

  • 『コンドル』
  • 『ダイ・ハード』
  • 『愛がこわれるとき』
  • 『ディープインパクト』
  • 『オープン・ウォーター』

5.人生の岐路

【人生の岐路】は、「人生の岐路に立たされた主人公が、苦悩の末に本当の自分を受け入れる」というストーリーです。

『トレインスポッティング』や『クレイマー、クレイマー』などがこのストーリータイプの作品です。

この章で分析されている作品

  • 『テン』
  • 『クレイマー、クレイマー』
  • 『普通の人々』
  • 『28 DAYS』
  • 『ナポレオン・ダイナマイト』

6.相棒愛

【相棒愛】は、「何かが欠けている主人公が、それをおぎなう存在に出会い、共に成長する」というストーリーです。

反発し合う二人がコンビを組むバディものや、反発し合う二人が恋愛関係になるラブコメディなどがこのストーリータイプです。

いっけん別物に見えますが話の構造は同じなので、バディものの性別を変えれば恋愛ものになります。

この章で分析されている作品

  • 『ワイルド・ブラック 少年の黒い馬』
  • 『リーサル・ウエポン』
  • 『恋人たちの予感』
  • 『タイタニック』
  • 『ブロークバック・マウンテン』

7.なぜやったのか

【なぜやったのか】は、物語に隠された秘密の本当の意味がわかったとき、見えていた景色が一変するタイプのストーリーです。

『シックス・センス』や『トータル・リコール』などがこのストーリータイプにふくまれます。

この章で分析されている作品

  • 『大統領の陰謀』
  • 『ブレード・ランナー』
  • 『ファーゴ』
  • 『ミスティック・リバー』
  • 『BRICK ブリック』

8.おバカさんの勝利

【おバカさんの勝利】は、マヌケで無能だと思われている人物が意外な勝利を収めるストーリーです。

『星の王子 ニューヨークへ行く』や『ブリジット・ジョーンズの日記』などがこのストーリータイプです。

この章で分析されている作品

  • 『チャンス』
  • 『トッツィー』
  • 『フォレスト・ガンプ』
  • 『キューティー・ブロンド』
  • 『40歳の童貞男』

9.組織のなかで

【組織のなかで】は、特殊な家族や組織のなかに身を置く主人公の苦悩を描いたストーリーです。

『ゴッドファーザー』や『カッコーの巣の上で』などの作品がこのストーリータイプに属しています。

この章で分析されている作品

  • 『M★A★S★H マッシュ』
  • 『ドゥ・ザ・ライト・シング』
  • 『リストラ・マン』
  • 『トレーニングデイ』
  • 『クラッシュ』

10.スーパーヒーロー

【スーパーヒーロー】は、「特別な力や宿命を持つ主人公が、特別であるがゆえに苦しむ」というストーリーです。

『スパイダーマン』や『マトリックス』などがこのストーリータイプの作品です。

この章で分析されている作品

  • 『レイジング・ブル』
  • 『ライオンキング』
  • 『マトリックス』
  • 『グラディエーター』
  • 『スパイダーマン2』

以上が10のストーリータイプの簡単な紹介です。

ここでは簡単な紹介にしていますが、実際はストーリータイプの共通点や重要なポイントなどがくわしく解説されているので、気になる人は自分の目で確かめてみてください。

まとめ

自分が作ろうとしている物語がどのストーリータイプになるのかをこの本で確かめて、ジャンルの共通点や重要なポイントを参考にしながら改良していけばきっと面白い物語ができあがるはずです。

分析されている作品は50本ですが、共通点のある作品は数百本(おそらく500本)紹介されているので参考になりそうな作品は簡単に見つけられると思います。

どんな人におすすめなのか

こんな人におすすめ

  • 自分でストーリーを分析するのが面倒な人。
  • ストーリーのいろいろなパターンを知っておきたい人。
  • 自分が作ろうとしている物語の下敷きになる(参考になる)作品を探している人。

『SAVE THE CATの法則』との比較

『10のストーリータイプから学ぶ脚本術』は前作『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』でも紹介されている「ビートシート」と「10ストーリータイプ」に焦点を絞って書かれた本です。

なので、シナリオの基本的なことが知りたい人は前作の『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』から読むことをおすすめします。

『SAVE THE CATの法則』の表紙『SAVE THE CATの法則』はシナリオが書けない人を救う最強の脚本術!

『10のストーリータイプから学ぶ脚本術』から読んでも問題ありませんが、「ビートシート」については前作のほうがくわしくて分かりやすい内容になっています。(10ストーリータイプの解説は今作のほうがくわしいです)

『10のストーリータイプから学ぶ脚本術』は「こんなストーリーの話が作りたいんだけど、何かお手本になる例はないかな?」といったときに役立つ本です。

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