今回はシーンの簡単な作り方を紹介します。
物語の重要なできごとやオチを決めたプロットができあがっていても、完成というゴールにたどり着くのは意外とむずかしいものです。プロットで決めた重要なできごとをどのようにつないでいけばいいのかわからないからです。
そんなときは、重要なできごとと重要なできごとのあいだにあるシーン(小さな物語)を作り上げて1歩ずつ着実に完成へと近づけていきましょう。
シーンとは
物語の中で主人公は常に目的を持っています。目的には最初から最後まで持ち続ける大きな目的と、大きな目的を達成するために必要なたくさんの小さな目的があります。
たとえば、好きな相手と付き合うのが大きな目的だとします。大きな目的を達成するには、親しくなるために話しかけたり、相手の連絡先を手に入れたり、デートに誘ったり、色々な小さな目的を達成する必要があります。
そのような小さな目的を達成しようとする過程を描いた小さな物語のことを、ここではシーンと呼ぶことにします(色々な定義があると思いますが)。
1つの物語の中にはそのような小さな物語(シーン)がいくつもふくまれています。なぜなら物語はいくつもの連続するシーンで構成されているからです。
なので、シーンを書き上げていけば自然と完成という大きなゴールにたどり着くことができるのです。
それでは、【シーンの流れ】と【シーンの作り方】を解説していきます。
シーンの流れ
シーンとシーンは以下のような流れでつながっていきます。
【目的を持つ】~【その結果どうなったのか】までが1つのシーンです。そして1つのシーンがおわれば、また新たな目的が生まれて次のシーンへとつながっていきます。
シーンの作り方
上の流れに当てはめて考えていけば、簡単にシーンをつくることができます。
例をまじえて具体的にを解説していきます。
目的を持つ
主人公が目的を持つことによってシーンのゴールが決まり、シーンがはじまります。学校に遅刻しないように行く、自転車のカギを取りに家に戻る、なども目的です。
目的がわからないと読者の混乱をまねいたり、興味を持ってもらえなかったりするので、できるだけ早めに目的を伝えておきましょう。
たとえば、主人公(内気な青年)が気になる女の子をデートに誘うシーンを作るとします。この場合、女の子をデートに誘うのがシーンの目的であり、シーンのゴールです。
手段を選んで行動する
目的が決まったら、今度はそれを達成するために手段を選んで行動させます。主人公の性格が反映されている手段や、面白みのある手段を選ばせましょう。
上の例の場合だと、内気な主人公は気になる女の子を直接誘うことができないので、彼女のカバンに告白と連絡先を書いたメモを忍ばせる。などの手段が考えられます。
その結果どうなったのか
行動を起こせば、何かしらの結果が返ってきます。ここで簡単に目的を達成してしまうとつまらないので、予定調和な展開ではなく【予定不調和な展開】にして主人公を困らせましょう。
たとえば、主人公がメモを入れたカバンは別の人物のカバンだった。といったような予定通りにならない結果にします。(シーンのゴールはあくまで目標なので、ちゃんと目的が達成される必要はありません)
新たな目的が生まれる
結果を受けて主人公が新たな目的が持ち、次のシーンがスタートします。次のシーンも目的を達成するために行動を起こして・・・というように同じ流れでつづいていきます。
例の場合だと、「恥ずかしいメモを見られるまえに取り返す」という新たな目的が生まれます。
このように流れにあてはめていけばシーンを作ることができます。そのシーンがプロットとどう関わるのか、次のシーンにどうつながるのかを考えてゴールや目的を定めてやるのがシーン作りのコツです。
そして、シーンが単調だと感じたときは、主人公を困らせる予定不調和な展開を用意してやりましょう。
まとめ
以上がシーンの作り方です。
プロットができあがっている場合は達成する必要のある目的があらかじめわかっています。なので、それらの目的を達成するために必要なシーンを今回紹介した方法で考えていけば物語は完成へと近づいていくはずです。