思考実験|テセウスの船と身近な同一性のパラドックスたち

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同一性のパラドックス

今回、紹介するのは【テセウスの船】などの同一性とはなんなのか? と考えさせられる思考実験(パラドックス)です。

テセウスの船

テセウスの船とは

アテネの人たちは、ミノタウロスを退治した英雄「テセウス」が乗っていた船を大事に保管していました。しかし、時間の経過とともに腐ってきた船の部品はその都度、新しいものに取り替えられていたのです。

果たして、それはあのテセウスが乗っていたものと同じ船なのでしょうか?

というのがテセウスの船のパラドックスです。

船の部品のすべてが新しいものに取り替えられてしまっても、まだそれはテセウスの船と呼べるのか? 同一性とは何なのか? という問いです。

同じようなケースは身近にたくさんあります。(勝手に名前をつけて身近なパラドックスを紹介していきます)

野球チームのパラドックス

野球チームは選手が引退したり、加入したり、監督が替わったりしてチームを構成する要素が変わっていきます。

すべての選手や監督が入れ替わったとき、過去のチームと現在のチームは同じ野球チームといえるのでしょうか?

アイドルグループのパラドックス

AKBなどのアイドルグループはメンバーが卒業したり、加入したりして初期のメンバーから変わっています。それでも同じAKBといえるのでしょうか?

あと、もしAKBとモーニング娘のメンバーが全員入れ替わったとしたら、どちらがAKBでどちらがモーニング娘なのでしょうか?

ウナギ屋のパラドックス

ウナギ屋が創業以来ずっと継ぎ足してつかっている秘伝のタレは、もう最近継ぎ足したタレの成分しか残っていないのではないか? 創業以来同じタレだといえるのでしょうか?


このようにテセウスの船のような事例は身近にたくさんあります。

ここで、もうひとつ同一性について考えさせられる問題を紹介します。インドの説話集に登場するお話です。

屍鬼二十五話

ソーマデーヴァという詩人がまとめたインドの説話集『屍鬼二十五話』の第六物語「兄と夫の首を継ぎ誤った話」にも同一性とはなんなのか? と考えさせられる問いが登場します。

ある女性がシヴァ神に亡くなった兄と夫を生き返らせてもらいます。しかし、シヴァ神は生き返らすときに兄と夫の頭を取り違えてしまうのです。この場合、夫の頭と兄の体を持つ人物と、兄の頭と夫の体を持つ人物のどちらが彼女の夫なのでしょう? という問いです。

第六物語の中では夫の頭がついているほうが彼女の夫だという答えになっています。多くの人もそう答えるでしょう。

ここでひとつ問題です。

もし、入れ替わるのが彼女の頭と兄の頭で、さらに彼女のお腹に子どもがいたとします。この場合、お腹の子どもはいったいだれの子どもなのでしょうか?

上の考え方だと頭を持つ方が優先されます。なので、兄の頭と彼女の体を持つ人物が兄ということになります。

兄の子どもなのでしょうか? それとも彼女の子どもなのでしょうか?

答えは用意していませんが時間がある人は考えてみてください。

まとめ

以上が同一性とは何なのかと考えさせられるパラドックスです。

何か創作のヒントになれば幸いです。